USB-Cケーブル1本でモニターに映せるかどうか、何Kまで出せるかは、機種とケーブルの世代によって変わります。土台になっているのは、USB Type-Cコネクタの信号線を映像用に転用する「DisplayPort Alt Mode」という仕組みです。
- USB-Cケーブル1本の映像出力は、USB信号線を映像用に転用する「DisplayPort Alt Mode」という仕組みによるものです。
- MacBook ProはM4/M4 Proで外部ディスプレイ最大2台、M4 Maxで最大4台。iPad Pro 13インチ(M4)は1台・最大6K/60Hzです。
USB-Cで映像が出る仕組み:DisplayPort Alt Mode
USB信号線を映像用に転用する仕組み
USB-CでモニターにつないだだけでHDMIやDisplayPortケーブルなしに映像が出せるのは、「DisplayPort Alt Mode(DP Alt Mode)」という規格によるものです。この規格は、USB Type-Cコネクタが持つSuperSpeed USBレーン(最大4本)の一部または全部をDisplayPort映像の伝送に転用します。AUXチャンネルとHPD(Hot Plug Detection)には、USB Type-Cコネクタの他の信号線を使っています。
映像とデータ、給電を1本にまとめる
DisplayPort Alt Modeは、映像・音声・USBデータ・制御信号に加えて、最大100Wの電力を1本のUSB Type-Cケーブルで同時に伝送できます。USB-Cケーブル1本でモニターへの映像出力とノートPCへの給電を同時にまかなえるのは、この仕組みのおかげです。
ただし、伝送できる映像データの帯域は使い方によって変わります。4本のレーンすべてをDisplayPort映像に割り当てると最大80Gbpsを伝送できますが、SuperSpeed USBデータと同時に使う場合は最大40Gbpsになります。
ケーブルの世代で上限が変わる
現在広く使われているDisplayPort 1.4は、HBR3(High Bit Rate 3)というデータレートに対応しており、4レーン使用時の合計帯域は32.4Gbpsです。HBR3対応のDisplayPortインターフェースは、単一接続で8K映像を駆動でき、複数の4Kディスプレイにも対応できます。
また、DisplayPort 1.4はVESAのDisplay Stream Compression(DSC)という圧縮技術を活用する最初のDisplayPort規格で、これによってHDRと8K映像をUSB-Cコネクタ経由で実現しています。
さらに高い帯域が必要な場合は、ケーブル側の対応も欠かせません。VESA認証の「DP80」ケーブルはUHBR20リンクレート(20Gbps×4レーン)に対応し、最大80Gbpsのスループットを提供します(DisplayPort 2.1)。ケーブルの選び方はUSB-Cケーブルの選び方マニュアルにまとめています。
USB4以降との関係
DisplayPort Alt Mode 2.0はUSB4規格とシームレスに相互運用でき、DisplayPort 2.0の全機能をUSB Type-Cコネクタ経由で有効にします。USB4対応機とDisplayPort 2.0対応モニターを組み合わせる場合は、この枠組みが土台になります。
機種別のUSB-C映像出力対応表
DisplayPort Alt Modeに対応していても、実際に出せる解像度や接続できる台数は機種によって異なります。台帳に記載のない項目は「—」としています。
| 機種 | 最大台数 | 最大解像度 | 接続方法・条件 |
|---|---|---|---|
| MacBook Pro(M4/M4 Pro) | 2台 | 6K/60Hz | Thunderbolt。HDMI併用時は4K/144Hz |
| MacBook Pro(M4 Max) | 4台 | 6K/60Hz | Thunderbolt3台+HDMI1台(4K/144Hz) |
| MacBook Air(M4) | 1台/2台 | 8K/60Hz他/6K/60Hz他 | 画面を閉じても台数は増えない |
| MacBook Air(M3) | 2台 | — | 本体のふた(画面)を閉じる必要がある |
| iPad Pro 13インチ(M4) | 1台 | 6K/60Hz | ネイティブDisplayPortまたはThunderbolt 3 |
| iPhone 16 Pro | — | 4K HDR | ネイティブDisplayPortまたはDigital AVアダプタ(USB 3・10Gb/s) |
| iPhone 16 | — | 4K HDR | ネイティブDisplayPortまたはDigital AVアダプタ(USB 2・480Mb/s) |
| Galaxy(Samsung DeX) | — | — | DeXケーブルまたはUSB-C to HDMIアダプタでHDMIポートに接続 |
| Google Pixel | — | — | Pixel 8以降。DisplayPortまたはHDMI to USB-C対応機が必要 |
| Nintendo Switch 2(ドック接続時) | — | 3840×2160/60fps | HDR10対応。1080p/1440p選択時は120fps |
- MacBook Pro(M4/M4 Pro):Thunderbolt経由で6K/60Hzを2台、またはThunderbolt6K/60Hz1台+HDMI4K/144Hz1台の組み合わせに対応します。詳しくはMacBook Pro(M4 Pro)のUSB-C仕様ガイドで解説しています。
- MacBook Pro(M4 Max):Thunderbolt6K/60Hz×3台+HDMI4K/144Hz1台の組み合わせに対応します。
- MacBook Air(M4):1台なら最大8K/60Hz・5K/120Hz・4K/240Hzのいずれか、2台なら最大6K/60Hzまたは4K/144Hzです。画面を閉じても対応台数は増えません。
- MacBook Air(M3):2台同時接続するには、本体のふた(画面)を閉じる必要があります。
- iPad Pro 13インチ(M4):USB-C経由のネイティブDisplayPort出力とThunderbolt 3映像出力に対応しています。詳細はiPad Pro(M4)のUSB-C仕様ガイドをご覧ください。
- iPhone 16 Pro / iPhone 16:どちらも最大4K HDRですが、USB-Cポートの転送規格はiPhone 16 ProがUSB 3(最大10Gb/s)、iPhone 16がUSB 2(最大480Mb/s)と異なります。より詳しい仕様はiPhone 16のUSB-C仕様ガイドで解説しています。
映像が出ない・解像度が上がらないときの確認点
ケーブルの規格を確認する
まず疑いたいのがケーブルです。USB-Cケーブルは見た目が同じでも内部の信号線の本数や対応規格が異なるため、映像出力に対応したケーブルを選ぶことが重要です。ケーブルの選び方はUSB-Cケーブルの選び方マニュアルで解説しています。
接続できる外部ディスプレイの台数を確認する
上の対応表のとおり、同じMacBookシリーズでも接続できる外部ディスプレイの台数やクラムシェルモードの要否はチップの世代によって異なります。Nintendo Switch 2の映像出力も、付属のドックに接続した状態での仕様です。手持ちの機種の型番を確認し、対応表またはメーカー公式のスペックページで台数と解像度を確かめてください。
ケーブル1本でノートPCに給電できるUSB-C対応デスクトップモニター4製品の比較はUSB-C給電対応デスクトップモニターの選び方で、USB-C→HDMI変換アダプター4製品の比較はUSB-C→HDMI変換アダプターの選び方で解説しています。
出典
- VESA:DisplayPort Alt Modeの仕組み
- VESA:DisplayPort Alt Mode 2.0とUSB4
- VESA:HBR3のデータレートと認証プログラム
- VESA:DisplayPort 2.1仕様とDP80ケーブル
- Apple公式:MacBook Proの外部ディスプレイ対応
- Apple公式:MacBook Air(M4)の外部ディスプレイ対応
- Apple公式:MacBook Air(M3)の外部ディスプレイ対応
- Apple公式:iPad Pro(M4)の外部ディスプレイ対応
- Apple公式:iPhone 16 Proの仕様
- Apple公式:iPhone 16の仕様
- Samsung公式:Samsung DeXの接続方法
- Google公式:Pixelのワイヤード投影
- Nintendo公式:Nintendo Switch 2 本体仕様
モバイルモニターの購入を検討している方はモバイルモニターの比較記事を、複数台のディスプレイやポートを1本のUSB-Cでまとめたい方はUSB-Cハブの選び方もあわせてご覧ください。